星野リゾート、都市型ホテルで新ブランド「OMO」、来春に2軒

星野リゾートは10月5日の記者会見で、都市を訪れる観光客をターゲットとする「都市観光ホテル」について、新ブランド「OMO(おも)」を立ち上げたことを発表した。同社の4つ目のホテルブランドで、観光でビジネスホテルを利用する旅行者がターゲット。コンセプトは「寝るだけでは終わらせない、旅のテンションを上げる都市観光ホテル」で、客室の価格帯については公表していないが、同社広報によれば「ラグジュアリーではなく、気軽な旅を楽しめるリーズナブルな価格」となる見通しだ。

 1軒目は、4月から同社が運営している「旭川グランドホテル」をブランドし、来年4月28日に「星野リゾート OMO7 旭川」として開業。2軒目は5月9日に、東京の大塚に新築のホテル「星野リゾート OMO5 大塚」を開業する。10月5日には同ブランドの公式サイトを立ち上げており、予約受付は11月15日から開始する予定。そのほか、今年3月に発表した、2022年に大阪の新今宮駅前で開業するホテルも「OMO」として運営するという。

 記者会見で登壇した同社代表の星野佳路氏は、「OMO」のコンセプト設定においては「ビジネスホテルを利用する観光客から挙がる『なぜか旅のテンションが下がる』との声」を意識したことを説明し、「都市観光ホテルとして、観光客のことだけを考えてハードやサービスを提供する」と強調。ブランド名については「国内外の人が読めて発音しやすく覚えやすい名前」で、商標が取れることを条件として、社内で募集して決定したことを伝えた。広報によれば特別な意味はなく、「スタッフそれぞれが『思いやり』『面白い』など色々な意味を感じている」という。

 新ブランドでは、提供する設備やサービスのレベルにあわせて、ホテル名の「OMO」の後に数字をつけて差別化する考え。同社広報によると利用者へのわかりやすさを重視したもので、星野氏は「外資系ブランドはサービスのレベルにあわせて、それぞれ別のブランド名をつけているが、我々は1つのブランド名でカバーする」と説明した。なお、この日の会見では数字のつけ方に関する詳細は明らかにしなかったが、一例として「例えばホステルタイプの『0』も出てくるかもしれない」と語った。

同社はOMOの宿泊客には「旅先をまるごと楽しむディープなご近所の魅力」を訴求する考え。星野氏は「観光客は地域のディープな文化が集中している場所に行く」と語り、「ホテル周辺の地域の人々とスクラムを組み、1つの『リゾート』を作りたい」と話した。「旭川グランドホテル」ではコンセプトとして「まちなかみつけたび」を掲げ、すでに周辺の関係者との協働を開始。最近では旭川大学との協力により、ホテルから500歩圏内のレストランや小売店など60店舗を紹介する「500歩MAP」も制作したという。

 新ブランド3軒のうち、旭川と大塚の詳細は12月から来年1月にかけて発表する予定。旭川の客室数は現在と同じ237室で、複数あるレストランについては数を絞る。また、時期や期間については未定だが、リニューアルのために一時閉館するという。大塚はJR大塚駅から徒歩1分の場所に位置し、客室数は非公開。館内にはオールデイカフェ「OMOカフェ」を設ける。

 星野氏は4軒目以降については、新築と既存ホテルのリブランドの両方を視野に入れていることを説明。このうち既存ホテルのリブランドについては、「旭川グランドホテル」のように宿泊・レストラン・ブライダル・宴会と多面的なビジネスを展開するホテルが各地にあることについて語った上で、「(再生には)やりがいを感じる」とコメントした。開業時期については「まずは旭川を1年間運営してから」と述べるにとどめた。

「OMO」を中心とした「リゾート」のイメージ